働き続けるための本質的な時間管理について(えさか通信11月号)
こんにちは!支援員の宮崎です。
今月のえさか通信のコラムは、うつ・発達界隈の苦手な「時間管理」についてです。
誰も教えてくれなかった「時間管理の基本」について書きましたので、ぜひ読んでみてください。
Contents
はじめに
うつや発達障害などで生きづらさを感じている人の多くが「時間の使い方が苦手だ」と困っています。マルチタスクが出来ない、優先順位が付けられない、集中力が続かない、やる気が出にくい…。
時間の使い方は自分の使い方です。時間を上手く使えていない状態は言わば自傷行為をしている状態とも言えるわけです。自分を傷付けている訳ですから、精神的にも様々な悪影響が起きてしまいます。生きづらさを感じている人は正しい時間の使い方を身に付けることがまず一番大事な治療になるわけです。
今日はえさかで伝えている本質的な時間管理の基礎についてのお話をご紹介します。
本質的な時間管理の基本原則
時間の使い方の一番の基本は「日中で消費した分を、睡眠で回復させること」です。逆に言うと9時間寝て充電したエネルギーを元手に15時間連続で活動することです。これを平日も休日も反復継続して行えることが時間管理の、なおまた生きることの基礎となります。
「休養」への誤解が不調を引き起こす
しかし多くのライフハックでは休むことを「積極的休養」「消極的休養」と分けて考え、起きている時間に休む方法が沢山紹介されています。起きている間に休息を取ってしまったら、寝にくくなり翌日が辛くなり…と悪循環に陥ってしまうのではないでしょうか。上手く休息が取れない人は、起きている時間に休むことを考えているから体調が悪いままなのです。
今日の21時に9時間連続でぐっすり寝て疲れを十分に回復できるか、そのために起きている時間をどう使ったら良いか、この基本の考え方が抜けているから、時間の使い方も分からなくなってしまいます。
主治医から「日中疲れすぎないように」と指導され、日中活動量が足りず寝れなくなり生活リズムがぐちゃぐちゃになっている人や、本来日中しっかり動いたら眠れるにもかかわらず睡眠薬が処方され「自分は眠剤がないと眠れない」と誤解してしまっている人も少なくありません。起きている時間は活動する、寝ている時間で回復させる。まずはこの時間の使い方が人生の基礎になることを改めて理解しましょう。
そして冒頭で紹介した時間管理の苦手さについては、まず自分がこのサイクルを反復継続できる十分な睡眠を取った状態でも起きるのかを検証しましょう。睡眠を十分に取ることで障害特性と思われていた困りごとが改善した例も少なくありません。時間管理術の習得は十分に寝てから検討しましょう。
社会復帰に向けた2段階の時間管理
働かなかったらサイクルが回せるのか検証する
復職・社会復帰を目指している人はまず、仕事に行かなければこのサイクルを回せるのか、仕事がなくてもこのサイクルが乱れているのかを判断する必要があります。仕事が辛く大変だった方が多いので仕事に行かなければ毎日動けると思いきや、えさかに来る方の多くが働いていない状態でもこのサイクルの反復継続が難しいというのが現状です。
なぜこのサイクルが乱れてしまうのかの機序は個々人によって異なります。具体例は割愛しますが、まずこの原因を見つけて「寝て起きて活動するサイクル」を確立することが復職・リワークの第一ステージと言えるでしょう。
他者と一緒に過ごせる時間を増やしていく
次に「何時間なら他者と一緒に過ごせるか」を見定めていくのが第二ステージです。一人で過ごすだけなら大丈夫な人でも、例えば外出したり、誰かと話したり、複数人で作業をしたりすると途端にサイクルが崩れてくるケースが非常に多いです。自分にとって何がストレスで、どうしたらこのサイクルを崩さず過ごせるのかを一緒に考えて実践していきます。
こうして一時間ずつ対人交流の時間と強度を増やしていき、起きている時間のうち何時間なら人の役に立つために他者と協力できるかを見極めていきます。このように「寝て起きて動くサイクル」を主軸に時間の使い方を身に付けていくことが、長く働き続けられる自分づくりに大きく貢献してくれるでしょう。
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以上です!次回もお楽しみに。
10月号コラムはこちら「働き続けられない人に足りない3つのこと(えさか通信10月号)」