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カテゴリー:エゴグラム

エゴグラム「隠れRC」

おはようございます。支援員の宮崎です。

6階の集合プログラムでは「親子関係から紐解く対人課題」ということでエゴグラムを総論・各論に分けてお話しています。総論の具体的なお話はコチラのブログに非常に詳しく掲載しているのでぜひ読んでみてほしいのですが、今日はその中でも「隠れRC」というお話を書いていこうと思います。

本来のRCについて復習

まずは本来のRCについて復習しましょう。
エゴグラムの6つの自我の中でも、一人だけ「怒り・反抗」といったややネガティブなニュアンスを持つRC。

・嫌なことがあるとイライラする
・分かっていても素直になれない
・何かと反発・反抗してしまう

まさに反抗期の子どもの自我ですが、実はこの恨みや怒りをエネルギーにするRCはうつや適応障がいの原因になってしまうと考えています。そのためえさかでは「がん細胞」と言わんばかりに、出来るだけRCの値を減らしていこうという話を伝えています。

RCが高くないのに?

なので働き続けられなくなってえさかに来られる利用者さんは、RCの値が高い方が多く、対人場面でイライラしたり怒りで眠れなくなっている方が少なくありません。

しかしその一方で「怒りや恨みなんて全然ないんだけどなぁ」という比較的穏やかそうな人も一定数いることに気付きました!
穏やかなようだけど、どこか悲しげな、受け身気質なのに強そうな、そこはかとない何かが滲んでいるような、一見働き続けられそうな雰囲気を帯びているのに、何故か体を壊したりうつになったりで働けなくなるタイプの人。

…もしかしてRCって反発・反抗以外の現れ方があるんじゃないか?という閃きが頭の中に浮かびました。

隠れRCチェック

それでは純正RCではない現れ方とはどんなものを指すのでしょうか?
チェックリストを作ってみたので、まずはそちらをご覧ください。

・・・

□怒りや苛立ちは感じないが、どこか心がモヤモヤする
□驚いたことが起きた数日から数時間後に、涙が出る/体調を崩す
□理不尽なことが起こっても、怒りにならない/考えても仕方がないと思ってしまう
□気に入らないことがあっても、人生そんなもんだと思っている
□競争心はないが、自分が選ばれなかったら落ち込むことはあるかもしれない

□誰かとトラブルがあると、真っ先に自分の非を考えてしまう/相手の非が見えにくい
□時々自分が本当に何を考えているのか、分からなくなる
□頭ごなしに言われたとき、その場では受け止められるが寝る前などに思い出す
□何をエネルギーに生きていけば良いか分からない
□嫌なことがあっても、表出することに躊躇いを感じる

・・・

いかがでしょうか。チェックリストを見てみて、何となく純正RCとの違いを感じていただけたでしょうか?

RCのエネルギーがぎゅっと抑圧されたような、無気力さや妙な達観っぷりが滲んでいる気がしませんか?

隠れRCの原因は?

なぜ純正RCではなく、隠れRCになってしまうのでしょうか?
それは恐らく誰かが押し込めてしまっているからなのでしょう。

「怒りを出すことは不適切だ」
「不平不満を言ってはならない」

というようなことを幼いころから言われてきて、それらが染みついてしまい自然と怒りや反発心を出さないように生きる癖がついてしまっているのかもしれません。

隠れRCの減らし方

純正RCと同じように、長く働き続けるためには隠れRCの値も徐々に減らしていく必要があるのですが、どうやったら値を下げることが出来るでしょうか?
えさかではその一つの仮説として「本当の意味でのAを育てる」を挙げています。

怒りを出すことは不適切ではないこともある

例えば親から「怒りを出すことは不適切だ」と言われて、怒らないように気持ちを抑えることを繰り返してきた人がいるとします。
でも実はこの命題こそ不適切で、実は怒りを出した方が良い時もあるんです。

自分の得られる恩恵を理不尽に侵害された時、自分の身体が傷付けられそうな時、誰かに困っていることを伝える必要がある時。
上記のような状況では怖い表情をして嫌そうなジェスチャーで真剣な声色を使わないと、相手にその深刻さを伝えることが出来ません。
隠れRCが高い人はこういった状況でも、笑顔で柔らかく対応してしまい、結果として自分が損益を被ってしまっているケースが非常に多いのです。

論理的・建設的に考えて、自分の身の振り方は時と場合に応じて変えなければならないということを、Aを使って考えていく必要があるのです。

反発心を「出さない」ことは妥当か?

また、怒りや反発といった純正RCの表出は確かに実社会で多用して良いものではないかもしれません。しかし「反発心を出さない」という解決策が本当に妥当か否かか考える必要があります。

本来であれば
①対象への反発心を自覚し、
②なぜ反発心が生まれたのか言語化し、
③対象への適切な対処法を検討し、
④反発心が消失する
というステップを踏み「結果として反発心が出ない状態になる」という自分を目指す必要があります。

隠れRCの値が高くなっている人は、“反発心を出さない”という言葉の意味を「反発心を持っているけど表出しないことが美徳だ」という解釈になってしまっている人が多いのではないでしょうか。

こういった誤った解釈から間違えた戦略を使い続けてしまっていることを、Aを使って見つけて修正していく必要があるのです。

まずはRCを解放するところから

往々にして、隠れRCは自分の中の何者かによって無理やり隠れざることを強いられている状態ですので、当面の方針としてはその瓶詰にされたRCを表に出していくことを目標に訓練に励んでもらったら良いと思います。

その手段は人によって違うと思うのですが、健康面・生活面・対人面・自己理解面などなど…自分がどうやったらRCが出てくるかの試行錯誤を支援員と二人三脚で見つけていけたら良いのではないでしょうか。

一人では難しいので、一緒に取り組んでいきましょう。

自立センターえさか

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