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「できない」を責めているのは、誰ですか?

面談テーマ:働けなくなるくらい嫌なこと

「〇〇ができない」「〇〇が苦手」
そんな就労不安を抱えた利用者さん。

高木さんは、静かにこう問いかけました。

―― 何が“問題”なんやろう?

「できていない」「苦手」を“誰が”責めているのか

就労不安には「時間が守れない」「納期が守れない」など、いろんな形があります。
ですが、実際には、それが完璧でなくても働きながら幸せに生きている人は多くいます。

「でも、それだと周りの人に…」

―― だったら、練習したらええねん。
――“やりたい”と思えたら、人は自然とやる。
――でも君はいま“しない”ほうを選んでる。
――自分の現実(事実)は動いてないのに、脳だけが反応してしまってる。

――……で、誰が『しろ』って言ってるんやろ?

少し沈黙のあと「……母です」と利用者さん。

苦手を克服したいなら練習する。
やりたくないなら、捨てたっていい。

本来はこの二択です。
でも、自分の中で“責める声”が動き続けているなら、内面を丁寧に見ていく必要があります。

本当に求めていたものは何か

――でも、その脳の声は、実際の親の声じゃないねんで?
――現実のお母さんは、いま君を責め続けているわけではない。

――何が叶ったら、やりたくなるだろう?

そんな問いかけから、利用者さんの中にある想いが静かに言葉になりました。

「肯定してほしい」「応援してほしい」

その想いに気づいた利用者さんの目から涙がホロホロこぼれました。
最近ずっと緊張した面持ちだった表情が、ふっとほどけた瞬間でした。

高木さんは、やわらかく笑って、

――吉田くんやで

と一言。

※吉田くんとは…
「ヨシヨシ」「しんどかったね」「大丈夫やで」の頭文字をとって、ヨシダ。

そんなおやじギャグも織り交ぜながら、面談はほっこりとした雰囲気で終わりました。

高木さんは“苦手を直させる”のではなく、
その人の現実と心の声をゆっくり分けていく。
その姿勢が、面談の空気をいつもやわらかくしています。

自分を責めていた声が、“励ます声”へ変わっていく。
これから利用者さんがどんなふうに変化していくのか、静かに見守っていきたいと思います。

自立センターえさか

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