就活する前に知っておきたい「強み」の話(えさか通信1月号)
こんにちは!宮崎です。
今月のえさか通信のコラムは、自分の「強み」についてのお話です。
発達障害との関係性や就活についてなども書きましたので、新年を気持ち良く迎えるきっかけとして、是非読んでみてください。
はじめに
発達障がいの方などに対する就労支援として「強みを活かして働こう」という文言が多く知れ渡っていますが、社会復帰を目指している方の多くが「自分の強みが分からない」「強みなんてないのではないか」という悩みを抱えています。実際に就職面接の場でも「あなたの強みは何ですか?」という質問はよく聞かれますし、働くためには強みを複数個持っていなければいけないというのは暗黙の常識となっているようにも感じます。
しかし現実としては定量的に計測できるものでもないですし、仮に強み発見診断たるものを通じて客観的な自分の強み項目が提示されたとしても、どう活かせば良いか分からない人も少なくないのではないでしょうか。
今回はそんな多くの人が悩む「強み」について、自立センターえさかで伝えている考え方や就活との関係性も併せてご紹介していきます。
多くの人が誤解している「強み」
教育や福祉の現場ではIQの高いところを凸、低いところを凹と定義されており「凸を伸ばせば社会で活躍できる」「凹を埋めようとすると自己肯定感が下がる」「凹は環境を変えたり配慮してもらおう」というようなフレーズをよく耳にします。
このように「凸=強み=活かすべき」「凹=弱み=受容すべき&配慮されるべき」という考え方が定説とされていますが、私たちはその考え方について疑問を持っています。
働けなくなっている人の話を聞いていると、IQが高い部分も低い部分もその両方が生きづらさの原因になっているケース、要するに凸も凹も「弱み」になっている人が多いからです。
これは私の話になりますが、凸の処理速度が災いとなり上司を責め立てトラブルになったり、逆に言語理解が凹だからこそ自分が理解するために書いている文章や絵が他の人の役に立ったりすることもあります。つまりは凸だからといって必ずしも強みになる訳でもないし、凹だからといって必ずしも配慮が必要なわけでもないのです。
凸凹の形と、それが強みとして活きるかどうかは別軸として捉える必要があると考えています。
そもそも「強み」とは何か?
では何を強みにしたら良いのかとよく聞かれますが、何が強みになるかの前にそもそも強みとは何か?ということを先に考えていかなければいけません。
当事業所では、全ての特性がこれが強みでこれが弱みと仕分けられるわけではなく、健やかな生活に貢献している(他者と協力する際に役立つ、自他共に笑顔が増える、健康に過ごせるなど)特性や経験のことを逆説的に「強み」と定義しています。一方で他者とトラブルになったり、協力を妨げたり、体調が悪化したりという因子になっている特性や経験を「弱み」と定義しています。
「長所と短所は表裏一体」という言葉にあるとおり、「私の強みは〇〇だ」と明確に定められるわけではなく「自分の生きやすさに貢献している特性や経験が強みだ」という視点で自分を内省し、強みになっていることを探してみましょう。
強みを活かした就活のために
先述したことをふまえると、自分の特性を強みにできている人は職場で長く働き続けることが出来るのですが、働くことが出来なくなっている方の多くは「自分の特性を使いこなして生きやすさを獲得する」という発想自体をそもそも持っていないように感じます。私もそうでしたが、どちらかというと特性を持って生まれた被害者であり、その特性による生きづらさは変えられるものではないと信じているような印象すらあります。
しかし職場は、言うなれば個々人の持っているカードの出しどころをお互いに調整しあい共通の目的を達成することを目指す場所です。そのため私たちはまず個人として自身の持つカードを上手く組み合わせて目標をクリアする力が必要不可欠で、実はこれは障害の有無や凸凹の大きさに関わらず、誰がどこでどのように働くにしても大前提として必要な技術なのです。
当事業所では「毎晩同じ時間に寝起きし昼寝なしで活動する」「月3万円以内で自炊し毎朝お通じを出す」などの健康・生活レベルでの諸目標を達成する訓練からその技術の習得を行っています。これが堅実な就活の一丁目一番地となることを認識し着実な練習が行えている利用者さんは就活もスムーズです。何を試しても再発や休職を繰り返してしまう方は、ぜひえさか流の就活で長く働き続けられる自分作りを選択肢の一つとして検討してみてください。
以上
あとがき
以上です!
今年も一年残りあとわずかとなりました。今年は沢山の人と出会い(しっかり迷惑をかけ)、そして気付かせてもらうことが多かった一年です。関わってくださった皆様、どうもありがとうございました。
明くる年も精進してまいりますので、引き続きよろしくお願いします。
どうぞ良いお年をお迎えください。
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12月号コラムはこちら「自分に合った会社の見つけ方とは(えさか通信12月号)」
11月号コラムはこちら「働き続けるための本質的な時間管理について(えさか通信11月号)」