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【研修報告】ピアサポート研修(基礎)に行ってきました

こんにちは。
支援員の宮崎です。
8月に大阪府のピアサポート研修(基礎)に管理者の高木と参加してきました!
元々2年前に「えさかでピアサポートをしない3つの理由」でも書いた通り、「ピアサポート」という仕組みには懐疑的な立場だったのですが、今回は精神以外の障害を持つピアさんやピアを雇用している管理者の方も参加されており、色んなことを感じ得ることが出来ました。

備忘録の意味でも、今回の研修で学んだことや改めて疑問に感じたことなどをざっくばらんに書き留めていこうと思います。

「ピアスタッフ」という言葉の認知

今回の研修は1つのテーブルに管理者3名、ピア2名+ファシリテーター2名の計7名のテーブルが6つある会場で、全体で講義を聞いてからグループワークをしたり発表したりという流れで進められていきました。

まず初めにこの2日間を通して私が抱いた違和感について書いていきます。

2日間参加者のお話を聞いていく中で、同じ話をしているはずのに違う話をしているような違和感を抱いていました。なぜこんな違和感を抱くのか考えてみたところ「ピアサポートというものへの理解が違うのではないか!?」という仮説に辿り着きました。

今回参加されたピアスタッフは①障害はあるけど健常者と対等の立場として働いているスタッフと、②障害者雇用として部分的な業務に限定されていてかつ支援を受けながら働いているスタッフの2種類の働き方があるみたいでした。また管理者側も同じように障害者を健常者同様に雇用している人と障害者雇用として雇っている人もいたようで。そもそもの「ピアスタッフ」という存在への認知が、参加者によってバラバラだということに途中で気付いたんです。

・障がいの有無関係なく雇用している管理者
・障害者雇用としてケアを受けながら働くピアスタッフを雇用している管理者
・健常者と対等の立場で働いているピア
・支援を受けながら働いているピア

同じ管理者でも全然違う、同じピアでも全然違う。

今回の私のモヤモヤは「障害者とともに働くとは」「ピアスタッフとは」みたいな定義が揃っていないことに気付かないまま話を聞いてしまったことで起きてたんじゃないかなと思いました。

どんな話をするにせよ、その相手の定義や背景を理解した上で対話する必要がありますね。

ピアの専門性って何??

次は1日目午前のグループワークの中でファシリテーターさんが「ピアの専門性って何だと思う?」という問いを投げてくれたことで気付きが生まれたお話です。

午後がちょうど障害ごとにピアスタッフとして活動されている方が事例発表の回だったので、午前の問いをふまえて「それぞれの専門性って何だろう?」と考えながら参加し、考えもしてこなかった「ピアの専門性」について一つ自分なりの解を得ることが出来ました。

私が私なりに解釈できた「ピアの専門性」

そもそも専門性とは「特定の分野において高度な知識や経験が求められること」「ある分野や経験に長けていること」と辞書には載っています。

じゃあピアはどんな専門性を持っていたら良いかというと、それは働く場所によってどの分野の知識や経験に長けている必要があるかは変わってくるんじゃないかと思いまして。

例えば、
・精神科の病院 → 退院して一人暮らしできた知識や経験
・難病関連事業 → 事故に遭った経験そのものや、障害受容をした経験、障害を持ちながらの生活に適応した経験
・生活訓練系 → 不調なく毎日動けるようになった経験
・就労支援系 → 自分の課題を解決して働けるようになった経験

私は発達障害と診断され働けなくなったのちに課題を見つけて解決して働けるようになった経験があります。だからもう一度働きたいと思っている休職者層の人たちの先輩にはなれるけど、別の所に行ったらピアとして何か活かせることは無い…と思う。

ピアスタッフとして働く前に「自分はどんな人にどんな支援ができる知識と経験を持っているのか」「誰の先輩になれるのか」を予め言語化にしておくことが、ピアとしての専門性をもって働くコツなんだろうなと思いました。

「病んだ経験」だけそんなに特別なのか?

「ピアの専門性」について理解できたことにより浮かんだ疑問が一つあります。ピアに専門性があるとすると、それはただ持っている経験の一つであって、他の健常の職員さんと同じてことで良い…んですよね?

・大学で福祉について学んできた経験がある職員
・結婚して子どもを3人育ててきた経験がある職員
・世界一周したことがある職員
と並列で、
・病んだ経験がある職員
があるとすると、なんでピアスタッフだけわざわざピアサポート研修があるのだろうか?

行政がわざわざ制度として仕組み化する必要性があるのはなんでなんだろう?

まだ私の中で解が出ていない疑問の一つです。

障害者雇用とピアスタッフ

これは2日間通して感じていたことなのですが、障害者雇用の話をしているのかピアサポーターの話をしているのか、ごっちゃになっていた人が多いように感じます。

(私の受け取りが変なだけかもしれませんが汗)

ピアスタッフ云々の困りごとというより、障害者雇用での困りごとの話になっているというか。

障害者雇用の難しさ

障害者雇用って難しいなと思います。

仕事には「①職場の人と協力する」というスキルと「②仕事の成果を出す」というスキルの2つの基本スキルが必要だと思うのですが、障害者雇用ってどこが不足している人へのどんな特別枠なのかが雇う側も雇われる側もよく分からないまま雇用契約を結んでいるケースが少なくない気がしますよね。

障害者雇用の中には、本当に障害があるだけで①協力することも②成果を出すことも問題なく出来る人から、①協力することも②成果を出すことも支援が必要な人までいる。

「ピアサポーターとして働く」という観点と「障害者として支援を受けながら働く」という観点が上手く整理できたら、お互いにとって心地良い働き方になるんだろうなと思いました。

就労移行にピアサポートの算定が付かない理由

これは単純に疑問です。なんでですか?

生活訓練もグループホームも、ピアサポートをしている事業所に加算が付く仕組みになっているのですが、就労移行はその制度が適応されません。

「働けるようになった人」ってそれが新規就労の人だとしても社会復帰の人だとしても、ピアサポーターとして結構需要があると思うんです。

そもそもなぜ就労移行は除外されたのか。

またいつか考えていこうと思います。

基礎研修を修了して

2日間いつもと違うルーティンで朝の支度をして、初めての場所で初めての人と話をしていく…状況はかなりハードでしたが、おかげで普段考えないようなことを感じたり考えたりする良い機会になりました。

今回8月に行われたのは基礎研修で10月にまた実践研修があるので、そこでは今回感じた疑問が解消できたら良いなと思います。

長文になってしまいましたが、以上ピアサポート研修(基礎)の報告でした!

自立センターえさか

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