えさか流エゴグラム総論
えさかでは集合プログラムでエゴグラムを扱っています。
とはいっても本流のエゴグラムを学ぶのではなく、エゴグラムの体系を借用したえさか流の対人課題の解決方法なんですけどね。
今回は、えさか流エゴグラムの総論編を書いてみましたので、ぜひ読んでみてください。
Contents
エゴグラムって何?
エゴグラムというのはエリック・バーンが作った交流分析という心理学の中の心理ゲームを指します。
ざっくり説明すると、自分の中には6人の自我がいて、その各人の意思の強さで自分の対人パターンが分かるよ!みたいな自己診断ツールです。
えさかでは、このエゴグラムの「自分の中の6人の自我がいる」という考え方を借用して自分の対人戦略を解析し、対人場面でしんどくなる機序を明らかにしていきます。
あくまで体系を借用したまでで、本物の交流分析のお話とはだいぶ違うので、あくまでえさか流としてお楽しみ下さい。(笑)
内面の葛藤を統合する
えさか流エゴグラムの大前提は先日公開した「社会人基礎力って何?」に掲載されている“社会”のお話になってきます。
「社会の最小単位は自分」という考え方は、解像度を上げると「自分の中の調和が取れて始めて、他者との調和が取れるよ」という意味になります。
例えば、
自分の中の6人の自我が一致団結して人生を過ごせている時は、他の人とも穏やかな人間関係築けますよね。
ということは逆に、自我同士でケンカや独裁政治が行なわれている時は、他者との関係でトラブルが起きてしまうんです。
つまり、自分の内面の葛藤が他者に映し出される!という構図があるんです。
えさかでは彼ら6人の言い分を聴き、全員が満足できる合意点を見つけることを目指します。
“内面の統合”をすることが、対人課題の解決に繋がる!
次は具体的にどんな自我がいるのかご紹介していきます。
6人の自我の紹介
6人の自我はざっくりこんな特徴を持っています。
CP…厳しい親;規範的、権威的
NP…優しい親;養育的、協調的
A…今の(大人になった)自分;論理的、理性的
FC…自由な子;愉快で奔放、独創的
AC…従順な子;穏やかで協調的
RC…反発する子;反抗的
大まかに言うと
CPとNPは親からもらった価値観や考え方
FC・AC・RCは子どもの頃の自分の価値観や考え方
Aは大人になった今の自分の価値観や考え方
を表しています。
詳しくは今後各論のブログ記事で扱っていくので、
親・子・自分という分類で構成されているなぁ~6人いるなぁという程度で大丈夫です。
早速診断してみよう
えさかで使っている診断シートはこんな感じ。
各自我に対して当てはまり度を数字で入れてもらうのですが、それぞれの値は、相手や状況に応じて変わります。
後述しますが、出し入れ自由なんですよね。性格じゃなくて戦略って感じで。
えさかでは一番どうにかしたいシチュエーションを想定して数字を出してもらいます。
えさか流エゴグラムの見方
それぞれ数字が出たところで、えさか流のエゴグラムの考え方を解説していこうと思います。
CPとNPが足して25以上
CPとNPの値は足して25以上の方は親からもらった価値観が強すぎる状態。
親の影響を受け過ぎないしは親の真似をし過ぎです。
対人場面でも、どちらかというと仕切ったり気を配り過ぎたりと相手を支配する戦略でアイデンティティを形成しようとする傾向があります。
FCとACが足して25以上
親の自我と同様に、FCとACの値が足して25以上の方は、子どもの頃の価値観が強すぎます。
家族内での子ども感覚、学生時代の生徒感覚が残っている人とも言えるかな。
対人場面では、ついつい相手の言うことを聞き過ぎてしまったり甘え過ぎて幻滅されたりとやや依存的。
その幼さからも社会に出てから厳しく指導されてしまうことも少なくありません。
心の葛藤を見る①CPとNP
えさか流解説では心の葛藤が良く見えます。
例えばCPとNP。
CP「よく他人や自分を責める」とNP「人の失敗を寛大に許す」がどちらも2(はい)になったら矛盾してると思いませんか?
これは同じ状況になった時に「責める気持ち」と「許す気持ち」が葛藤してしまっているという心理状態を表します。
時と場合に応じてどちらかが使い分けされていたらまだ良いのですが、えさかのエゴグラムはシチュエーションを限定しているので、同時に「はい」や「いいえ」が付くと不自然な個所がいくつか存在するんですよね。
このような数値の矛盾がある人は、自分の中では一貫していると思っていても周りから見たら言ってることとやってることのズレていたり、情況によって言ってることが矛盾しているので、信用してもらえなくなったり距離を置かれてしまったりと生きづらさを感じてしまうでしょう。
他の矛盾も見ていきましょう。
心の葛藤を見る②FCとAC
FC(自由な子)とAC(従順な子)も相反する自我になります。
好き勝手やらして欲しいと思いつつ、相手に従っている心理状態が見て取れます。
思いと行動にズレがあるので、生きづらくなってしまいますね。
心の葛藤を見る③ACとRC
AC(従順な子)とRC(反発する子)も相反する自我になります。
これは外面では従順なフリをしておきながら、内心反発している人に良く見られるパターンです。
本来ACは「人の意見を聞いたら自分が得をした/なりたい自分に近づいた」という純粋に人の意見を取り入れようとする性質です。
そのため今回のようにRCが高い人のACは「ポーズとしてのAC」であって本来の純正ACではありません。
偽ACなんですよね。
ただ戦略として従順なフリをしているだけなので、心の葛藤としては大きくなってしまうでしょう。
心の葛藤を見る④CPとAC
CP(厳しい親)とAC(従順な子)が高いケースはまさに中間管理職の振る舞いそのものですね。
上司には従順に、部下には厳しくという風に使い分ける場合には矛盾しないでしょう。
しかし、上司に対して文句を秘めつつ見かけはヘコヘコ従っていると生きづらくなってしまいます。
この場合RCも高くなっているケースが多いのも、特徴の一つです。
RCは0が望ましい
RCは反骨精神とも表現され一見良さげとも感じますが、えさかでは出来るだけ0に近づけようと伝えています。
なんでダメなの?という話は各論で扱っていきますね。
対人課題を因数分解する
ざっくりではありましたが、えさかではこんな感じで自分の心の動きを解析していきます。
詳細はそれぞれの自我を各論で扱っていくので、そこで深堀していきますね。
最後に、実は人はどれだけ性格が悪くても(笑)葛藤がなかったら生きづらくならないって知ってますか?
生きづらさがある人は、自分の中で複数の意見が対立しています。
そしてどの行動を選んでも反対勢力が文句を言うので、後悔や怒りが生まれて「生きづらさ」になってしまうんです。
まずは自分の中でどの自我がどんな意見を言っているのか、見つけて、認めること。
そこからどうしたら全員が満足するか一つ一つ考えていきます。
一人じゃなかなか出来ないところもあるので、えさかでは支援員や他の利用者さんと一緒に分析していきます。
それでは、次回は「エゴグラムってどういった形が理想形なの?」を予定しています。
お楽しみに!