なぜ相手が分かってくれないのか?
こんなに丁寧に伝えてるのに分かってくれない。
分かりやすく言葉を選んでいるのに分かってくれない。
何回も言ってるのに分かってくれない!
伝えても伝えても相手はわかってくれません。
なぜ相手は分かってくれないのか、集合プログラムで考えてみたのでお裾分けします。
■思いが相手に伝わるまでの機序
まず自分の思いが相手に伝わるまでに三つの製造工程があります。
一段階目は「自分の思いを言葉にする」工程です。
二段階目は「できた言葉が相手に届く」工程です。
三段階目は「届いた言葉を相手が復元する」工程です。
結論から言いますと、この三つの工程は非常に精度が悪いので、これらの工程を経て出来上がったものは原材料から遠くかけ離れて似ても似つかぬ製品になってしまいます。
だから思いが相手に伝わらないんです。
今日のブログは以上です。
以下、各工程がどれだけ難しいかを書きましたので、お時間ある方だけ読んでいってください。
■思いを言葉にする工程
実は言葉って非常に画素数の低い伝達手段なんですよね。
例えば絵を言葉で説明するってとても難しいですよね。有名な誰もが知っている絵なら言葉で説明して相手の脳裏にその絵を浮かばせることができるかもしれませんが、今私が描いた絵を言葉で説明してまるまんま相手の脳裏に描くことってできないんですよね。
言葉をどれだけ重ねても実体にならない。
自転車に乗れない5歳児に乗り方をどれだけ説明しても乗れるようにはなりません。
目に見える事象ですら言葉で説明することが難しいのに、目に見えない思いを説明するってめっちゃ難しいですよね。
言葉にしてみたところで、目で見て答え合わせができる訳でもない。
自分の思いを言葉にするって、実は不可能レベルで難しいことなんです。
■自分の言葉を相手に伝える
二つ目の工程は全工程のうち最も精度が高い工程かもしれません。
言い間違えなきゃ良いので。
ただ相手の脳内辞書にその言葉がないといけないので、そこは予め確認しておいてください。
■受け取った言葉を相手が復元する
「故郷」という言葉を聞いて、皆さんはどんなイメージを浮かべますか?
田舎で育った人は長閑な田畑の景色を、都会で育った人は聳え立つビルと行き交う人々を、それぞれイメージしたかもしれません。
一つの言葉とっても、その言葉の意味は一人ひとりの育ってきた背景や使ってきたシチュエーションなどの様々な因子により微妙に(かなり)違ってきてしまいます。
言葉のニュアンス・文脈・タイミング・言い方・他の言葉との相性…言葉を復元するためには結構いろんな因子が絡んでいるので、複数の単語からなる文章から情景を復元することは不可能レベルの難易度なんでしょうね。
下手したら逆の意味に復元される可能性だってあるワケですもんね。
各工程で半分50%伝わって万々歳だとすると、原材料の自分の思いを100%だとすると相手が復元した完成物は12.5%しかないわけです。
分かってもらえなくて当然。逆に分かってくれる人がいるとしたらおばけか敵でしょうね。