福祉の学習会で発表してきた報告と感想!
こんにちは!支援員の宮崎です。
11月24日(金)に吹田の福祉の方が開催してくださっている学習会で発表する機会をいただきまして、1時間お話させていただきました。
そこで発表した内容やいただいた質問と併せて感じたことを報告したいと思います。
学習会の時に使用した資料はこちらです!
Contents
- 1 福祉への感謝と報告を伝えに
- 2 発表の構成
- 3 いただいた質問やご意見
- 3.1 この利用率じゃ赤字じゃないですか?
- 3.2 25万(手取り20万くらい)ってなかなかブラック…ですね(笑)
- 3.3 宮崎さんくらい理解できる人でないと付いていけないのでは?
- 3.4 ピンポイントな支援で、そういった人には当てはまるかもしれないけど、そうじゃない利用者さんもいそう。
- 3.5 自立訓練じゃなくて就労移行はやろうと思わなかったんですか?
- 3.6 「ここまで出来たら移行やA型にいける」という基準はどう考えていますか?
- 3.7 症状的にどう考えても無理なのに「半年で働きたい」という人を紹介しても良いのか?福祉って2年通して通わないと駄目な事業所が多い気がする。
- 3.8 宮崎さんは生きるエネルギーがあったから元気になったけど、他の精神疾患の方にはそのエネルギーがない方もいらっしゃると思う。そういった人の支援はどうしているか?
- 4 今日もこつこつ広めていく
福祉への感謝と報告を伝えに
今回の発表依頼をいただいてから実は3週間近く、骨子を考えては白紙に戻し…を繰り返し、何を話そうかをかなり迷っていました(笑)
何十年も福祉業界で働き続けている大先輩の前で、こんな変わった事業所の特色を話したところで…と思い悩んでしていたときに、うちの管理者の高木がこんなことを言ってくれました。
「本当はみんなお前さんの話が聞きたいんやないの」
初めてこのブログを読んでくださった方に向けて改めて自己紹介なのですが、実は私宮崎は発達障害の診断を受けてからうつで倒れ、そこからえさかの自立訓練を受けて働けるようになった張本人なんですね。
そうか、私自身がどれだけ苦しみ絶望したか、そして何を学びどうやって元気になったのかを報告させてもらったら良いんだ!と。
それこそこうやって自立訓練に通えたのも、精神福祉領域で活動し続けてくれた人がいたおかげ。
その感謝と報告をすることが、結果としてえさかの自立訓練の紹介にもつながる!そう思えてから資料に魂が入っていきました。
発表の構成
今回の資料は10枚構成で以下のようなラインナップにしました。
- 表紙
- 宮崎の話
- えさかの施設情報
- 利用者さんの情報
- 訓練内容
- 訓練室紹介
- 私が学んで良かったこと
- 利用者さんの声/就活の話
3.4.5.6といった基本的な話は、改めて資料として作ったことがなかったのですが、施設の管理者の方もいらっしゃるので特に数字は具体的に出せるように意識して作りました。
また訓練内容など熱が入りすぎてしまうところは1時間では収まらないので、別途ブログを書いてQRコードにして悔いのない紹介ができるように工夫しています。
ぱっと見の情報量は多いですが、口頭説明なく資料だけで内容が分かるように描いているので、途中参加や資料だけの方でも理解できるような資料作りを心掛けました。
いただいた質問やご意見
ここからは発表の場でいただいた質問やご意見を、私たちの返答を合わせてご紹介します。
この利用率じゃ赤字じゃないですか?
「職員7名、登録16名、一日平均10.5人だと、採算合わなそうですよね?」
↓高木の返答はこちら
利用者さん1日利用すると約1万円ほどの利用料になります。
なので毎月大体240万円程度の収入だとして
職員一人当たり一律25万(管理者もサビ管も)×6人分=150万
家賃●●万、事務費●●万、だと
毎日12名来てもらったら回るように設定しています。
25万(手取り20万くらい)ってなかなかブラック…ですね(笑)
「そんな給料で働いてもらえるって良いですね(笑)」
↓宮崎の回答+回答しきれなかったことを今ここで話したい!(笑)
他の職員がどう思っているかわかりませんが、私は月15万程度で生活し、貯めたお金でこの春引っ越しもしました。
働けなくなる前の私は月30万給料をもらっていても足りなかったんです!
ストレスによる過食、現実逃避の散財や交際費で毎月親や(消費者金融まで)お金を借りていたほどです。
大事なのはもらえる給料の額じゃなくて、自分が身の丈に合った生活で満足することと思っています。
これは職員だけでなく、利用者さんにも金銭管理として訓練で伝えていることでもあります。
宮崎さんくらい理解できる人でないと付いていけないのでは?
「宮崎さんはここまで絵を描けるほど理解できる人には良かったかもしれないけど、そうじゃない人もいるのでは?」
↓
えさかでは難しいことを教えているわけではありません。
「1日の疲れが回復するだけの睡眠を取ろう」
「1日24時間×30日=720時間の使い方を考えてみよう」
当たり前すぎて誰も体系化して教えてこなかっただけで、普段の自分の身の回りのことを言語化して一緒に考えるだけなので、むしろ理解力がないとコンプレックスに思っていた人が「すごくスッキリしました!」と納得してもらえたり…不思議ですよね(笑)
もちろん相談や見学に来てくださったときに、利用目的や特性をふまえてえさか以外も選択肢に入れた方が良いかもと判断した方には他の事業所さんも紹介したりしています。
ただ今まで「この人は理解できなさそうだから」という理由で他を紹介したことはありません。5階は完全個別対応になるので、集合プログラムで付いていけない場合の方でも5階の利用者さんとして通所して自分のペースで身に付けていってくれています。
ピンポイントな支援で、そういった人には当てはまるかもしれないけど、そうじゃない利用者さんもいそう。
逆に私のようなASD女性バリバリ理屈派で納得しないと進めない人に対する支援がなかったから今こうやって私が支援員としてやらせてもらってるところではあるのですが…(笑)
今は福祉事業所も沢山あるので、“そうじゃない利用者さん”の受け皿は他にもいっぱいあると思っています。
えさかに問い合わせしてくださる方の多くは「納得できる事業所と出会えていない」ということで本当に沢山探して探して…という方ばかりです。たとえピンポイントな支援だとしても、それを受けたい方が全国から問い合わせしてくれているので、あえてピンポイントにする意義もあるんじゃないのかなと思っています。
自立訓練じゃなくて就労移行はやろうと思わなかったんですか?
職業準備性ピラミッドの土台を立て直すという方針なので「もう一度働ける自分になるために」というコンセプトは掲げていますが、あくまでやっている訓練内容からしても生活訓練なんですよね。
ちなみにこの画像はX(旧Twitter)で発信すると多いときは1000件レベルのいいねが来るのですが、本来の就労移行の設立の経緯からしても社会復帰を目的にしている方への訓練でないことは明らかかと思います。
(ブログを書いているので参考に:「通う前に知ってほしい「就労移行」の話」)
もし就労移行をするとしたら7階の訓練を就労移行事業所として分けちゃうという案も無いことはなかったのですが、おそらく企業実習や軽作業など既存の就労移行事業所のしている訓練は提供しない事業所になりそうな気がします(笑)
「ここまで出来たら移行やA型にいける」という基準はどう考えていますか?
えさかがA型事業所だったころからの卒業評価指標は持っていますが、それを合格したから働ける/そうじゃなければ卒業させないという風には考えていません。
まず働けなくなった原因があってそれを解決するために訓練する。解決するための訓練でえさかで提供できないものがあれば他の事業所を紹介する…といったところでしょうか。
対人の練習や面接対策ならえさかの支援員で出来ますし、資格取得すら個別プログラムの時間に勉強して叶えていますね。
「より実践的な対人練習がしたい」と言われた時に国の併用制度を採用した方もいれば、ボランティアを自分で見つけてくる利用者さんもいました。(7階の集合PGを“実践的だと思えない”という認知を変えることで解決した人もいますね)
自立訓練から就労移行やA型にステップアップするとしても、それはあくまで手段であって大事なのはそこで何を身に付けるかだと思います。そこを明らかにできたのであれば、訓練場所は問わないとすら思っています。
症状的にどう考えても無理なのに「半年で働きたい」という人を紹介しても良いのか?福祉って2年通して通わないと駄目な事業所が多い気がする。
えさかに相談に来られる方は「半年で働きたい」「貯金があと●●万だからそれが尽きるまでに社会復帰したい」「休職中に利用して復職したい」「失業保険受給中に立て直したい」というような時間やお金の縛りを持っている方が非常に多いので、事業所として「絶対2年通ってもらわないと訓練が完成しない」とは思っていません。
「半年で!」と来られた方も2,3か月訓練すると「あぁ私はもう少し訓練が必要だわ…」と気付かれて期間を延長しようと思う人が多いような印象を受けます。自己認知が適切にできるようになるのでしょう。
またこちらがどれだけ心配していても、自分が決めた期間で卒業して働きに行っちゃうので、やっぱり利用者さん自身が落としどころを持っているんだなと日々思います。
通所するか否かは別にして、まずはえさかに相談に来てもらえたら、どうやったら夢がかなうか一緒に考えられると思います。
宮崎さんは生きるエネルギーがあったから元気になったけど、他の精神疾患の方にはそのエネルギーがない方もいらっしゃると思う。そういった人の支援はどうしているか?
↓
実はこれ、時間切れでお返事が出来なかったので、今ここを借りてお返事を言語化していこうと思います。
高木が話してくれる「生きるエネルギー」についておすそ分けします。
「死にたい」人は誰よりも「より良く生きたい」と思う気持ちが強い。より良く生きたいのに、それが叶わないことに絶望しているだけ。
「働きたくない」も同じ。「より良く働きたい」という強い気持ちがあるからこそ、それが叶わない葛藤で苦しむ。
病気になる人ほど、生きるエネルギーが強いんやで。
私はたまたま言語化が上手で「幸せになりたい」「もっと心地よく働きたい」と言葉にできているだけで、他の利用者さんも同じだけの強いエネルギーを持っていると考えています。
色々聞いていったら、みんなすごいエネルギーで話してくれますよね?
病気になる人ほど、より良く生きたいエネルギーが強い。健常者の人たちの方が病気になるだけのエネルギーを持っていないとすら言えるんですよね(笑)
そのエネルギーの消化の仕方を誰も教えてくれないだけなんです。だから自分の体を蝕んだり傷付けることに矛先が向いてしまう。
私たちえさかは管理者から支援員までエネルギーが強くて病気になってきた人たちばかり(笑)
内に隠れている自分のエネルギーの出しどころを一緒に考えて練習していくことが、持続可能な健やかな人生を叶えるために出来る支援なのかなと考えています。
今日もこつこつ広めていく
参加者の一人の方が話していたことで衝撃だったことがあります。
「病院の相談員は患者さんが働きたいと言っても、自立訓練や就労移行を紹介しないこともある。まずは病状の安定でしょと。」
↑
私が凄い切り取り方をしてしまったのかもしれないですが、そんなこともあるんだ!と非常に驚いてしまいました。
これは元患者の持論ですが、病院って毎日通えるところじゃないし、自分の状態をすべて伝えきれる時間があるわけでもないと思うんです。だから、医療との二人三脚だけで病状のコントロールをするのはかなりレベルが高いように感じます。
それに比べて福祉事業所は毎日4時間も通所できるので協力医療機関の先生からも「おたくの方が利用者さんのことよくわかっているでしょ?」と言われるくらい一緒にいる時間も長いので把握できる情報も出来るアドバイスの精度も高いと思っています。
そして病状のコントロールには感情や考え方の再構築や自己制御の練習が不可欠です。それをせずに病状のコントロールをする方が難しいとすら思います。だからこそ「訓練給付」という形で国が制度を作り国民から集めたお金を使って通わせてくれている。
日々の体調管理から考え方のアップデートまで、支援員がいて一緒にやっていける制度を知らないことが非常にもったいなく感じてしまいます。
私も倒れるまでの3年間、色んな病院に行ったり相談してみたりしましたが、自立訓練どころか「障害福祉サービス」すら知りませんでした。
知っていて利用しないなら良いけど、知らずに一人で苦しんでいる人がいたらそれはよろしくない!
そう思い、今日もコツコツとX(旧Twitter)を使って自立訓練の存在を広めていきたいと思い、日々活動しています。
★★★
長文になってしまいましたが、読んでくださりどうもありがとうございました!