えさか通信

テキストアーカイブ

2021年12月号

1年を振り返ると見えてくるもの

 自立センターえさかは、利用者さんを増やすという観点で、医療機関との連携をはじめとして、各種相談事業所との関係から利用者さんとの出会いをひろげています。
また、ツイッターやブログ、自社のウェブサイトにも力を入れて、広報活動を行っています。それらが、利用者さんを増やすことにつながっていると考えています。

 次に利用者さんを育てるという点では、集合プログラムの全面的な見直しを行うとともに、他者とのかかわりを通じて学びを深めることと、一定日数を連続して訓練することにより、じっくり時間をかけて実施し、しっかり振り返ることができるようになりました。

 最後に利用者さんを送り出すことですが、訓練を終えて、就労や他の施設に移行することを目指します。行先は自分で探すことが基本ですが、希望が叶う自分になることで理想の未来が開けるのです。

理念を見直す必要性

 2013年の4月に成文化した経営理念についてですが、時が流れて、私(管理者)とサービス管理責任者の2名しか制定の経緯を知るものがいなくなっています。毎年1月に経営理念の見直しをすることになっていますが、特に意見が出ることもなく、実態としては理念を見直しすることは行えていません。来年こそ、全スタッフの想いと言葉を重ねて、行動を変えて行きたいと考えています。真剣に見直ししようと思います。

10年ビジョンを掲げる

 併せて、2009年に発表した12年ビジョンが2021年で終了しました。2022年からの10年ビジョンをスタッフ全員で成文化していく必要性を感じています。10年後にどんな施設になっていたら良いのか?新しい支援者さんを迎える上でも10年後を見据えたビジョンを掲げようと思います。この年末年始にかけて、支援者さんたちに問題提起することとともに、私も考えることにより、来年度以降も全スタッフが一丸となって進んで行けるよう準備したいと考えています。

相手の正当性を傾聴する

 相手の話を聞くときに大切なこととして「受容」や「共感」が挙げられます。そのため聞き手は話し手の話をよく聞いたり、共感したりすることをしていますが、話し手の満足度が低かったり、何度も同じ悩みを相談しに来ることが起きたりします。

 それはなぜかというと、聞き手が自分の正当性のフィールドから話を聞いているからです。話し手から見える世界での悩み事は、聞き手の世界から見たら一目瞭然ですぐに悩みの解決法が浮かんでしまうかもしれません。しかしそれは、あくまで聞き手の世界での常識の範囲内の話なので、相手はその解決法を理解できません。(その案が浮かばないし理解できないから相談に来るのでしょう)そのため、聞き手が話を聞くときは、話し手の主張が正しいという「世界」に入って、相手の正当性を傾聴することが大事なのです。相手から見た理解と実践可能な一歩がどこにあるのかを見極めることが非常に重要になってきます。当事業所も、満足度の高い相談をすべく、相手の正当性を意識した対応を心がけています。

発達凸凹は悪くない

 自分自身が発達障がい当事者として、自立訓練を利用し、今は支援員として精神障がいや発達障がいの方の社会復帰を支援している宮崎自身の話を書こうと思います。

 私自身は発達障がいと二次障がいのうつという診断で、発達障がいの症状自体に苦しんでいると思っていました。しかし実際は発達障がいの症状が、仕事や対人関係に悪く影響していることに苦しんでいると気付きました。発達障がいの症状を、自分が元気に生きるために発揮すれば良いのに、相手との関係を悪くするために発揮してしまっていたのです。

 例えば、過集中は仕事に一生懸命取り組むところに使えば良いものを、相手を責める時に使ってしまい、上司との関係が上手くいかなくなるといった感じです。発達障がいであることに人生の困難さを全て背負わせるのではなく、自分自身が社会と心地良い繋がりを作ろうとしているかということに焦点を当てることで、私は元気になりました。

11月の集合プログラムの様子

「ウィンターサバイバル」というコンセンサスゲームを行いました。企業研修などにも使われるゲームだそうで、自分なりに考えた答えを基に、チーム全員で一つの答えを決めていくゲームです。利用者さんの行動の特徴として、チーム戦になると、自分の想いを飲み込んでしまうという行動選択が多発してしまいます。「私が飲み込めば大丈夫…」を全員がやってしまうことで、今回はチーム全員に不本意が残る結果になってしまうという現象が起きました。集合プログラムで自分の意見を出す練習をして、働く時には主体的に意見が言える自分になれたら良いなと考えています。

高木の生活訓練

毎日血圧測定している高木さん。稀に血圧が高いときがあるそうです。話を聞くと、誰かにイライラしていたり、何かにストレスを感じていたりすると、血圧が上がるみたい。ストレスとは“思い通りにならないこと“。思いを変えるか、行動を変えるか。病前は思いも行動も赴くままだったマイペースおじさんの高木さん、最近は自己変革に取り組み血圧をコントロールしているそうです。