えさか通信

テキストアーカイブ

2021年11月号

年末に向けて考える大切なこと

 九月末で上半期が終了し、下半期が始まっている。しかしこの一年を振り返って来期に向けた計画を考える上で大事な時期に入ったと言える。実は昨年の十月以降で16名いた利用者さんが1年で5名に減少した。退所が16名で新規利用者が5名というのが現実である。16名の退所の50%は就労など前向きな結果を出しているが半数近くは自宅に戻る選択をしていることがこれからの課題となる。
 この時期にこの文章を書いているのには大きな訳がある。本来は1ヶ月前に書くべき文章なのだが、九月四日に私が大動脈解離となって緊急手術を受け九月末日まで国立循環器病センターに入院していたため、会社の事に手がついていなかったとも言えるのである。復帰してからは見学会を中心に利用者さんの拡大につながることを行なっている。

新しい出会いを求めて

 第百回の見学会前後に新聞折込とチラシのポスティングを行った。委託相談事業所の紹介もあり見学会の参加はあったが、利用につながっていない。パンフレットを全面的にリニューアルした。その中で利用していただきたい人のペルソナも2種類明らかにした。ご縁のある医療機関にパンフレットを置いていただくなどの連携を強めていきたいと思う。

共通の目的を探そう

 自立訓練(生活訓練)に馴染みが薄く、就労移行を目指す人が多いかも知れない。「もう一度働ける自分になりたい」という想いがあっても、一人ひとりの課題は違うだろう。それは自分に合った環境で、利用目的を明確にして、個別の課題を解決することによって目標が達成できると考えられる。他の利用者さんや支援員とも共通の目的を見つけることで夢を叶えることができると考えている。見学会や相談会など管理者や支援者と出逢える機会が多いので気軽にお越しいただけたらと思う。自分にピッタリの環境があると自信を持ってお勧めできる。

集合プログラムで広げる「視野」

 先週の「ディベート」では電子書籍チームと紙の本チームに分かれて立論と反駁を行いました。また今週のSSTは「上司の立場になって指導してみよう」というテー
マでロールプレイを実施しました。
 二つのプログラムに共通することは「立場の違い」です。どちらも今まで自分が経験したことのある立場とは別の立場から物事を見る練習になります。普段なら選ばない視点を体験することで、いつもの自分では見つけられない考え方に触れることができるのです。
 うつなどでしんどくなる時は、自分一人の視点でしか物事を判断することができなくなり、結果としてなぜか自分も苦しむ方向の選択しか取れなくなってしまいます。人間は苦しい状況に迫られた時に、その視点の転換により、新たな方向性が見えて、困難を切り抜けることができるのでしょう。そのように考えを再構築する力が社会で生きる上で非常に役に立ちます。自立訓練の場で反復して視点を転換する練習が、卒業後に人生の岐路に立たされた時も、既存の考え方に囚われない自分づくりになっていると感じます。

新しく作成しました

 パンフレットをリニューアルした目的は、当事業所のターゲットが二パターンあることを伝えるためです。当事業所は家から出ることが出来ず、まずは週一回の通所から目指したい人と、毎日通って就労を目指したい方の二つの層に対するサービス提供を行っています。引きこもりがちで外に出る練習からしていきたい方は五階の訓練室を利用していただき、自宅以外の安心できる場所づくりを目指してもらえます。一方で再就職を目指している方は七階訓練室で仲間と交流しながら社会適応スキルを身につけていただけます。
 今までのパンフレットでは、自立訓練なのに就労を目指せるということが上手く伝わりきらず、かつ少しずつ利用したい方には「就労」ばかりが先行して距離感を感じてしまう内容だったのかなと反省しています。ターゲットを分けた訓練室展開をしていることを皆様に知っていただき、安心して見学・通所していただけたらと思っています。

10月の集合プログラムの様子

 「失敗を自己PRにしてみよう!」というプログラムでは、利用者さんの失敗を持ち寄って、みんなでPRになるか考えてみました。失敗は自分が失敗と捉えているだけで、周りの人から見たらむしろ良い経験だったりします。自分1人で後悔しながら隠したかったことも、実は面接に活きる強みだったりするわけです。誰かに失敗を伝えることは初めは少し恥ずかしいですが、みんなで笑いながらリフレーミングできたことで、その失敗すら可愛く見えてきたんじゃないかなと思います。

高木の生活訓練

 9月初旬に大動脈解離で大手術をした高木さん。一か月の入院加療を経て、帰ってきました!(おかえり!)そこから髙木さんの生活訓練が始まりました。長い入院生活で落ちた体力を回復するため、毎日会社まで歩いて通勤するところから始めました。生活面では、せかせか動いちゃうことが多いので、ゆっくり動く練習をしたり、最短最速を目指して急ぐ癖を治すように心がけをしています。

高木さんの回復の様子はTwitterで発信中!#高木の生活訓練