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えさかでピアサポートをしない3つの理由

2022.04.22
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最近ピアサポートという言葉を聞く機会が増えたのですが、改めて「えさかってピアサポートしてないなぁ…」と感じました。

障害者総合支援法などの国をあげて力を入れているみたいですね。

厚生労働省がピアサポーターによる支援の効果を書いてるみたいなので、それをチラチラ見ながら、えさかがあえてピアサポートをしない理由を3つ書いてみました。

今回は特に精神・発達業界のピアサポートについて書いていってます。

 

①そもそもえさかの支援メソッドがピアサポートに近い

えさかの支援は「自分が元気になった方法を、利用者さんに還元していく」という考え方なので、そもそもが非常にピアサポートの考え方に近い。

筆者宮崎は発達障がい&うつ経験者として、支援員森さんも不登校や働けなくなった当事者として、もう一度働くために必要な訓練を提供している。

だから、あえてピアサポートやってます!と言うまでもなく、えさかは当たり前にそういう支援をしている。

 

 

②ピア(仲間・対等)に違和感

ピアサポートを検索すると、ピア(peer)は同じ立場にある仲間、対等みたいな説明をよく目にします。

そして、障がいを持った利用者と、障がいを持ったスタッフが対等な仲間って説明をされてる。

この文章って二重におかしい気がする。

 

これって

☆障がいを持っている利用者と、障がいを持たないスタッフは対等な仲間じゃない

☆同じ障害を持っている者同士だから対等な仲間になる

って言ってるように聞こえる。

この理屈だと、本来の支援員と利用者の関係も対等ではないと言ってることになるし、ピアスタッフと健常者スタッフも対等な仲間じゃなくなるみたいなことになる笑

 

障がいを持っていたスタッフも、ただのスタッフでええやん。

 

本来人と人って対等。

病気の経験があろうがなかろうが、支援者側にいようが利用者だろうが、お互いに対等な立場で関わる必要があることに変わりはない。

 

障がい者手帳を持って支援員をする違和感

障がいを有しているまたは障がいを有していたと行政が認める場合にピアサポートの対象要件に入る的なことを読みました。これもちょっと違和感。

ピアスタッフって元気になってることが大前提でしょう?手帳を持ってるってことは支援を受けなければいけない状態ってことで、そちらの定義を借りるとすると、利用者と対等になる前に、職場の同僚と対等になってないような気がする。

手帳を持った状態で働くということは、職員からの支援を受けて働く人のロールモデルとして存在するということよね?

つまり、いくらその人に支援してもらっても「この人の経験を実践しても、手帳返上するまで元気になれるわけじゃない」って思っちゃいそう。(少なくとも私ならそう思う)

障がい者雇用で働きたいと思う人からしたら良い先輩なんだろうから、それを全て否定するわけじゃないんだけど。

元障がい者手帳保持者の宮崎としては、ピアスタッフは手帳返上してる一般雇用の人か、障がい者雇用の人かによっても変わってくると思うから、そこをひとまとめにしてるところもかなり違和感!

 

 

③障がいがあるから信頼関係を築けるわけじゃない

チラチラ見てる厚労省のやつに載っているピアスタッフの効果に、

ピアサポーターは同じ悩みを経験してきたから、利用者の共感を得やすく、信頼関係を築きやすい。

ピアサポーターがアドバイスするから、納得して素直に聞きやすい。

ピアサポーターには話せることがあり、より適切な支援につなげることができる。

的なことが書いてありました。

 

これに疑問。

私は障がいの経験があるから信頼関係を築けるわけじゃないと思う。

障がいの経験があるから意見を聞いてもらえるわけでも、打ち明けてもらえるわけでもないと思う。

単純に一人の人として信頼できる対応をしてたから信頼されるというだけの話じゃないか?

専門職の人は信頼関係を築きにくいわけじゃないと思うし。専門的なことを知ってる人にだからこそ話せることもあると思う。

 

必要十分条件がムズムズする笑

 

ぶっちゃけ宮崎は定義上は障がいを経験したことのある支援員(THEピアスタッフ)だけど、やっぱり「宮崎さんは元気になれたけど私はなれません」「宮崎さんは凄すぎて遠い存在…」と言われることもありました。

目の前の人と信頼関係を築けるか否かは、障がいの有無に関係ないと思う。

そこにピアとかピアでないとか関係なく、一支援員としての支援の質の問題と思う。

 

 

自分の経験を活かす支援者は増えたら良い

えさかの管理者の高木さんは利用者さんによく「40過ぎたら支援者になれ」と言っています。

生きづらい人が沢山いるから、生きづらさを克服した人は、困ってる人の克服を支援したら良いという考え方です。

そうやって同じような困りごとを抱えた人の輪で、良い循環が作れたら良いという気持ちはピアサポートと近い想いを持っています。

ただ一つ違うのは、それはもはや「ピアサポート」ではなく「サポート」でええやんということ。

 

・大学で精神について学んだ専門職としてのサポーター

・現場で1,000人の利用者を支援する中で自分なりの支援観を確立したサポーター

・自分自身が病気を克服した当事者としてのサポーター

あえて一つに名前を付ける必要なんてなくて、色んなサポーターがいて良いと思います。

なんで障がい者出身の人にだけ名前を付けるの?笑

 

ただ病気を克服した人がサポーターとして活躍しにくい環境があるとしたら、それは本人の問題じゃなくて、その環境福祉業界で働く健常者スタッフ側の問題の方が強いと思うし、

障がい者手帳を持ったまま障がいのある人をサポートしたいって思う人がいるなら、もうちょっと利用者として克服するところを訓練したら?と思う。

 

 

以上がえさかがピアサポートをしない理由。多分この先どれだけ当事者出身の支援者が増えてもピアサポートしてます!って宣伝することはないと思う。

ただ自信持って言えるのは、えさかのスタッフは一人ひとりが生きづらさを克服してきた先輩が、支援員という役割を持って利用者の課題解決をサポートしてますよってこと。

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