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第78回座談会
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日時:2016.07.13(水)18:30~20:30
『人の夢の後押しをし続けられる人材教育とは?~就労支援を通じて~ 』
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江坂が好き!な経営者のための、第78回座談会を開催します。
テーマは『人の夢の後押しをし続けられる人材教育とは?~就労支援を通じて~ 』
問題提起者はNPO法人 大阪精神障害者就労支援ネットワーク
JSN茨木 事務局長 保坂 幸司 さんです。NPO法人 大阪精神障害者就労支援ネットワーク (JSN) は精神障害者の就労支援に力を注ぎ、これまで300人以上の就職という夢を叶えてきました。
JSNでは、どのような人材を支援者として採用し、どのように育てるか考えることで、よりよい支援を実現し、サービスの質の維持などの課題の解決を図っているのでしょう。
就職支援を行う事業所の観点から、人の夢の後押しをする人材を育成する上で大切なポイントについてお話しいただきます。
報告
今回の座談会は、15名の方にご参加いただき、のべ参加人数900人を達成しました。
保坂さんは以前、議員秘書をしていましたが、その後医師グループから「事業所を立ち上げるので、運営に力を貸してほしい」と打診されたことが、JSNの職員となるきっかけになったそうです。他の職員についても、福祉以外の仕事をしていた方が半分くらいおり、男女比もほぼ半々だそうです。
そのような特徴のあるJSNで事務局長を務めていらっしゃる保坂さんは、教育や支援の本質について、アメリカを例に出してお話しくださいました。
アメリカの人々は「この国の人間として成長する」ということへの関心が強く、故に発達心理学も進んでいるそうです。しかしながら、日本では「教育=ものを覚えさせること」という認識が根強く、支援に対する理解もまだ乏しいといいます。
「人間って何だろう、大人になるって何だろう」という意識が、支援や教育には大切だと保坂さんは考えておられます。しかし、その中でも「精神障がい者の支援は難しい」と、保坂さんは話します。それは、他者や周囲との関係性を築くことが苦手だったり、自分自身との折り合いが悪いといった不具合は、本人の心の問題に起因しているため、改善の土台をつくることが難しいからだといいます。
「故にその人が望んでいないサポートをしてしまう恐れもある」
と保坂さんはいいます。しかし、保坂さんはそれでも「支援は喜びだ」と語ります。
「人は自分のためだけに力を発揮することはなかなかできないが、困っている人を助けようとする気持ちは自然と湧いてくる。それで生活ができることが支援の素晴らしいところだ。
その人の心を分かることは難しいが、分かりたいと思って接すれば、相手の心の景色・世界が少しずつ見え、お互いが分かり合えるようになる。職員は利用者に与えるばかりではなく、ノウハウ、知識、経験を相手からいただいている。それらがたくさんもらえる職員がいい支援者だ」
と、支援に対する熱い想いを話されました。さらに保坂さんは、利用者だけでなく、職員に対しての想いもお話しくださいました。
JSNのこれからの組織デザインについて、やりたいことを率先して行う「自主管理型」を方針として掲げており、職員がプロジェクトを作り上げたり、自立開業を目指してチャレンジして欲しいと考えておられ、そのような職員には資金を無利子で貸すなどの援助も検討しているそうです。保坂さんは最後に、JSNの支援や人材育成に対する考え方について、進化や多様性のお話をまじえて話されました。
「進化といえば『適者生存』とよく言われるが、蝶々の羽に多様な色や模様があるように、多様性という概念も重要だ。『こうありたい』と願うことが、多様性を生む大きな要因ではないだろうか。それぞれが理想や夢をもち、多様な生き方ができるような社会を作りたい」利用者も支援者も自立という夢を応援したいという保坂さんの想いのこもった話に参加者一同聞き入り、話の後は参加者各々が障がい者支援に対する考え方や自身の夢について、わきあいあいとしながらも熱く語り合いました。
Q.今日の座談会に参加して学んだことや、気づいたことを教えてください
- したいこと できること 期待されることの一致
- 人のためにすることが生かしになることということはすごく共感できました
- 相手 (他人) から学ぶことの大切さ。
- 自分で自分の関係性がわからないことが腑に落ちました。
- したいこと できること 期待されることすればお金がもうかる…
- 絶対時間が必要。能力が上がっていく
- いろいろな方の考え方を聞けて面白かったです
- アメリカの子供の教育の話が印象に残った。
- 精神障害者の自らの対人関係の形成力について
- いろんな人がいて楽しかった。
- 自分のためじゃなくて、他の人のために頑張れることが幸せなこと。
- 精神障害は自分と他者との関係。自分と自分との関係
- 相手の世界を分かろうとしながらのサポートが大切